新山 による 2005年05月31日(Tue) 06:27AM の投稿
Guido van Rossum 氏の最新インタビュー記事がイタリアの Linux 情報サイト TuxJournal に掲載されています。記事を書いた Vincenzo Ciaglia さんから翻訳掲載の許可を得てAn evening with the Guru of Python: Guido van Rossum の全文を翻訳してみました。
Q1. こんにちは Guido、貴重な時間をいたただきありがとうございます。
すこしあなた自身について聞きたいのですが、いまどんな調子ですか?
仕事は何で、どのように余暇をすごしてらっしゃいます? そしてご趣味は?
Guido: こんにちは Vincenzo。調子はいいよ、おかげさまでね。
ぼくは現在 Elemental Security っていう会社で働いてる --
カリフォルニアにある新興企業だ。ここではサーバ・エージェントベースの
セキュリティアプリケーションを作っていて、
これはセキュリティ設定や大規模な企業ネットワークを監視したり管理したりするものだ。
ぼくは Python で大部分のエージェント・コードを書いている。
それからぼくはセキュリティポリシーの規則を書くための
ハイレベルなスクリプティング言語も開発していて、これは
うちのセキュリティ専門家が顧客のセキュリティポリシーを
定義するのに使うものだ。余暇をすごす方法は家族サービスだよ、
ぼくは幸福な結婚生活を送っているし、ひとりの息子 Orlijn
(古いオランダ語の名前で、Orlando のように訳される) はいまんとこ 3.5歳だ。
いちばんの趣味は読書だね。いまは古いオランダ古典をあさっている。
それから初代と2代目の米大統領の伝記も面白く読んだね。
Q2. 誰もがあなたのことを現在もっとも有名で広く使われているプログラミング言語 Python のグルであり、
発明者だと知っているわけですが、なぜこれを作ったんですか? 何年も前にプログラミングの世界で
必要だったものは何ですか? なにに触発されて Python を作ったんでしょうか?
Guido: ぼくは (ほかの何人もの人と一緒に) Amoeba という新しい分散オペレーティングシステムを作ってたんだ
(これは非常に有名だよ、Google すれば古い論文がたくさん現れるだろう)。ぼくたちは Amoeba が Unix と同じくらい
日常業務に役立つものにしたかったが、これにはスクリプティング言語が欠けていた。
それでぼくは自分でデザインしたんだ。当時明確だったゴールはシェルプログラミング (あまりに高水準すぎ) と
C プログラミング (あまりに低水準すぎ) 中間あたりのものを目指していたってとこかな。
そしてぼくはそれをクロスプラットフォーム対応にしたかった (まあ、ぼくは Amoeba の成功には
あんまり期待してなかったのかもしれないね :-)
もしぼくが質問を正しく理解しているのであれば、なぜ Python がポピュラーになるまでにこんなに
時間がかかったかということだね? これはたぶんぼくがユーザがたとえ 1人でも 1000人でも同じように
ハッピーだったからだろうと思う。だからぼくはあんまり Python を、他の言語がしていたように
時間や金をかけて“マーケティング”しなかったんだ。そのためコミュニティは有機的に成長していった。
人々は熱狂的な宣伝で引きよせられてくるのではなく、じょじょに Python を発見していったんだ。
Q3. なぜ Python という名前を選んだんでしょう?
Guido:
これは Monty Python's Flying Circus (『空飛ぶモンティ・パイソン』) にちなんでいる。
有名だから知っているでしょう。いまでもこれはお気に入りのひとつだよ。
Q4. 困難 (もしあれば) のためにこのプロジェクトをあきらめかけたことがありますか?
Guido:
いや、ないね。困難のために会社をやめたことはあるが、いつも Python のプロジェクトは
次の会社で続けていた。
Q5. なぜ人々は Python に来るのでしょうか? その利点は? かれらは Python をつかって何ができ、何ができないのでしょうか?
Guido:
その質問については誰かほかの人に尋ねたほうがいいと思うね。ぼくにとってはその質問はあまりに明白なために
どうやって答えていいかわからないよ。たぶん他の人は Python はプログラムをよりメンテナンス可能にすると
言っているのかもしれない。
Q6. ふつう何時間ぐらいコーディングしますか?
Guido: ぼくは 10時間ぐらい働いているが、その中でほとんどの時間は人々とコーディングよりも
プログラミングに *ついて* 話しあうのに使っている。それでも何日かはコードを書く日もあるが、
それはごくたまにだね。Python がこんなにも効率的な言語でうれしいよ!
Q7. Python 開発チームにおけるあなたの役割は何ですか? まだいくつかのプロジェクトでは働いているのですか?
それともただ調整してるだけ?
Guido: ぼくらは現在、リソースの獲得と解放 (ロックの取得/解放とか、ファイルのオープン/クローズなど) に使える
新しい複合文のデザインをおこなっている。try-finally ステートメントを書かなくてもリソースの解放がつねに保証されるようにね。
詳しくは最近の python-dev サマリ (http://www.python.org/dev/summary/) を見てほしい。
Q8. Python が成功した理由は何だと思います?
Guido:
ぼくはとても生産的なプログラマだと思うんだ。そしてぼくはその生産性を上げるように Python をデザインした。
つまりこれが意味するものは、ぼくが平均的な習慣をもっていて、自分にとって助けになったものは
他の人にとっても助けになったということだろうね。それから、ぼくはこれを ABC をベースにデザインした。
これはぼくよりもずっと賢い人々の集団がデザインしたものだ。
Q9. Python をほかのアーキテクチャに移植するさいの問題はありますか?
Guido:
そんなにはないね。Python は LLNL にあるウルトラ分散スーパーコンピュータから、
Palm やノキア携帯のような小さなプラットフォームにまですべて移植されてる。
もし C コンパイラをもっていれば、Python を移植できるよ!
Q10. Python のほかには、どんな言語が好き/あるいはどんな言語で仕事したいですか?
Guido: Java と C だね。C++ をつかったプロジェクトでも仕事してみたいと思っているが、
いまのところそれは実現していない。
Q11. Python 開発についてはどうでしょう。何か新しいニュースはありませんか?
それから、Python バージョン 2.4.1 で追加されたことは?
Guido:
2.4.1 は退屈だよ (数個のバグフィックスとセキュリティ修正だ)。
でも 2.4 は沢山のクールな機能をふくんでいた。2.4 でいちばんクールだったのは、
ジェネレータ式だろうね -- これは丸カッコをつかった list comprehension のように
見えるが、これはジェネレータのように動いて、それをイテレーションするときも
いちどにひとつの値しか計算しないんだ。
Q12. ソフトウェア特許についてはどうお考えになります?
Guido:
それは政治的な質問だね。それに答えるのにぼくはふさわしい人間じゃないと思う。
ぼくの個人的な意見は、ソフトウェア特許は競争相手を抑えこむにはかなりバカらしい
方法だと思うし、特許システムの濫用だと思う。でもぼくはそれについてバリケードを
組む気はないよ -- ほかの多くのバカげた法律と同じように、
最終的にはそれは死を迎えるんじゃないかな。
Q13.
これでインタビューは終わりです。すばらしい仕事と貴重な時間をどうもありがとうございました。
Guido:
どういたしまして。インタビューができたらリンクを送ってくださいね。(たとえそれがイタリア語からの翻訳でも)
© TuxJournal
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